滑らかソフト

滑らかに!時に激しく!思いの丈を綴る!

アメーバと先輩。


先日同じ職場の大好きな先輩とご飯へ行った。

わたしが今の職場で働き始めてから丸3年。

右も左も上も下も斜め横も右斜め上も45度上も分からなかったわたしを丁寧に一つ一つ指導してくれたのが先輩だ。

先輩とサシで飲みに行くのは2度目。

毎日職場で顔を合わせているけど、いざ2人きりになると未だに緊張する。だいすきな恋人に会う時みたくおめかししたり、ソワソワしたり。いつも丸まっている背中もピンと伸ばして歩いてみたり。(この5分後ぐらいにまた猫背になってしまったけど)


仕事を終えてお店へ向かい、到着するとすぐに乾杯ビール。おつかれさま、のあとにグラスがぶつかり合う音。しゅわしゅわと苦いビールが喉を通ってしゅわ。この苦味が昔は苦手だったけど今のわたしにとってはとても美味しい。そして仕事おわりのお酒は格別においしいのだ。染みる。ご飯とお酒を交えてワハワハほろ酔い。口もイイ感じに緩まる訳で、女子お決まりの恋愛話になった。


先輩は結婚生活5年目の大ベテラン。

頭が上がらないどころか地面にめり込んでしまうぐらいのベテランぷりだ。

今も仲良しでその仲良しっぷりはというと以前Twitterで載せたわたしの絵をTシャツにし、それを旦那さんと一緒に寝巻きにして寝ているというくらいの仲良し具合。

なんでもわたしの描いたキャラクターの名前を一緒に考えたり、家でお酒を飲みながらわたしの絵を見てくれたりしているらしく、夫婦揃ってわたしを喜ばすプロ。口座にいくら振り込めばいいの?


そんな先輩と旦那さんの関係性がとても羨ましくてその仲良しの秘訣を聞いてみたけど、最終的に「わたしの旦那と同じような人がいたら紹介してたのになあ!」になった。そう言えちゃう程先輩は旦那さんが大好きなのだ。

話を聞いてたら先輩の旦那さんがとても好きになったので、「旦那さんのような人が現れないかな〜」そう言うと先輩は


「旦那がアメーバなら良かったんだけどね…」


とんでもない事を言い始めたので流石の私も戸惑いを隠せなかった。




「旦那さんをそんな、アメーバなんて…

めっちゃイイですね」


それから同調した。



そこからは世にも恐ろしい『どうやって旦那さんをアメーバにするか』の話し合いが始まった。



旦那さんの腕を左右から引っ張る

お鍋の中にいれてグツグツ煮てみる


などの意見が上がり大いに盛り上がりを見せた。


「クゥ〜!旦那さん愛されてるなァ〜!!」

こんな事を言ってたけど今冷静になって思い返してみるとかなり恐ろしい話し合いだったな。なんだよアメーバって。


しかもこの話、割と長くしていた気がする。

旦那さんに会う事があったら「アメーバにしなきゃ…」と思ってしまいそうでこわい。


それから今度は一転して真面目モードになり仕事の悩みとか、自分のあり方とか、いろんな重ったるいお話しをした。

正直こういう話はつまらないかもと思って控えるんだけど、先輩はそういう話に付き合ってくれるし自らも話してくれるのでつい話しちゃう。

面白い話から熱い話まで、お酒を飲む手が止まってしまうくらい会話に熱中していた気がする。

こういうことはあんまりない。



会話の中で、先輩が言ってくれた

「わたしはあなたよりも先に働いてるし先輩という立場だけど、あなたのことを後輩だと思ったことがないの。いい意味でね。」

「仕事に対する姿勢を見て、凄いなあと思ったり、尊敬している部分が沢山あって。わたしじゃ気付かないような所をあなたは気付けていて、此間も朝から泣きそうになっちゃったもん!そういう細かいところ見れる人ってあんまり居ないと思う。」
「だから前にも言ったけど、わたしはあなたを悪く言う人とか、敵とか、そういうのが存在したら守ってあげたいんだ。わたしは味方で居たい、仕事でのあなたもプライペートのあなたも、全部だいすきだから。」



この言葉たち。

もうぶわぶわと、涙が出てしまいそうになったんだけどグッと堪えて、それはそれはもう、ゆるっゆるの表情をした。


嬉しすぎる事が急に起こると人間はうまく言葉が出てこないらしい。


ありがとうとか、なにか言わなきゃと思いつつ、うまく口が動かなくて「うわ」や「そんな」の様な言葉しか出てこなかった。ぽんこつ


人に面と向かってそういう事を言われるの初めてで、こんな嬉しい言葉を貰う事もないから本当に吃驚したんだろうな。
ボイスレコーダーで録ったの?ってくらいに先輩の言ってた事を一字一句覚えてる。お酒も飲んでたのに。


絶対そんなことは無いと思うけど、嘘でも、気休めでも、お酒の勢いでも、なんでもよかった。

先輩に対して裏があるとか思った事もない、仮にだ。仮に嘘の言葉だったとしても、わたしも先輩の事がだいすきなので全然許せてしまう。
寧ろこの瞬間にそうやって言葉を掛けてくれてありがとうしか思わない。


この食事を通して一層先輩のことが好きになった。
先輩も同じ事を言ってくれた。ニヤける。



次また飲みに行く時は、先輩に何かプレゼントしようと思う。自作の何かと、小さい花束とか。少しでも先輩が笑ってくれたら、それだけで嬉しい。